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December 2005

December 30, 2005

なまくら

yosihasi
 今年中にしておくことをメモしておいたけれど、あれもこれも時間切れで持ち越しになりそう。でも、年賀状を書いて出し終えてホッ。年賀状はもらうのがうれしいから出す。もう、会わなくなって久しい人との年賀状だけのお付き合いが、細々続いているのがいいかんじ。
 今年読んだ本のなかでのベスト1は吉橋通夫「なまくら」。「京のかざぐるま」同様、幕末から明治の頃の京都を舞台に、10代半ばの揺れる時代の子どもたちを描く短篇集。時代設定も主人公の年齢も激動の頃。でも、生きようとする子どもの心は現代も同じ。そばにいる大人の生き様が、子どもに与える影響も同じ。簡潔で骨太な文体で、描かれている人間の陰影がくっきり見えるのが魅力。
 児童書はわりあい読むほうなんだけれど、実は、知らない作家だった。昨年、児童文学同人誌「花」メンバーで、「日本児童文学」で同人誌評(素人が評していいんだろうか?と思いつつ…)をしたときに読んだ同人誌「季節風」の中に、この「なまくら」があった。
 「地味だけれど力強くて魅力的。この作品大好き、一目ぼれ! 完璧でまるでプロみたい」というのが、わたしの感想だった。そうしたら、「この吉橋さんてベテラン作家だよ」と、「花」の仲間が教えてくれたのだった。それから、図書館から吉橋通夫の本を借りてくるようになった。ファンタジーや歴史物もあったけれど、「なまくら」が、一番好きだった。そうしたら、なんと、今年になって単行本になって登場はするは、野間児童文芸賞を受賞するはの大活躍で、ファンとしてうれしい!
 短編集の第1作目は、「「つ」の字」。題でいったい、何のことと思って読みだし、謎がとけると同時に父の情愛がじわり。しかも、池田屋事件のあった6月5日の日の朝の出来事。大事件の日の市井の人の生き様をこんなふうに描いてみせるとは! 「灰」。盗みをする少年。許す大人。リアルに読ませる。灰の商売があるなんて知らなかった。冒頭、盗みに入るまでの心の動き、ためらっている緊迫感がすごい。「チョボイチ」。「チョボイチ」とは賭博の名前。きっぱりとやめたはずの賭博のサクラを、迷いながらも、一日だけの約束で手伝う風吉。風吉を誘っていた銀ノ字も、最後には、二人そろって「まっとうな人生」に向けていくけれど、ぜんぜん、うそ臭くない。腰ぬけだという父親のかっこ悪さが、かえってかっこいい。しょぼい大人(親)のしょぼくないところをさらりと描く。子どもの反発心が、人間をまるごと見つめるようになって、生き様が変わるのも、心にズシンと残る。

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December 29, 2005

マーシャと白い鳥

masha
 今年、出会って、一番好きになった絵本は出久根育「マーシャと白い鳥」。ロシアの昔ばなしでババヤガーにさらわれた弟を探す冒険をするマーシャ。ミルクの小川にチーズの岸、ババヤガーにババヤガーの使いの白い鳥たち。おもしろいのに、ぞくっとこわさのあるお話が、幻想的な絵になって浮かび上がっていて、ほれぼれとしてしまう。

 実家の両親が遊びに来ていたので、一緒にあちこち出歩いていた。あす雪国に帰る。大雪が心配。飛行機は飛ぶだろうか?

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December 22, 2005

ゆきむすめ

yuki
 けさ8時すぎ、ごーっという音に外を見たら、雪が横からどどっと降っていた。大雪!
 雪が積もってきたので、スニーカーで、雪を踏みしめて外出。雪のふりっぷりといい寒さといい神戸とは思えない。夕食時、子どもが「まるで横手みたい」と、言っていた。ほんとに雪国みたいだった。しばし、雪の美しさに見とれた。

 12月のおはなし会ではクリスマス絵本が多いけれど、「ゆきむすめ」(福音館)もいいな。子どものいないおじいさんとおばあさんが、雪で娘を作ったら、うごきだし、3人でなかよくくらしはじめます。でも、春が来て夏が来て「おひさまがこわい」というゆきむすめ…。 
 雪の寒さと美しさがつまったお話。
 ああ、小泉八雲「雪女」も読みたいなってきた。
 

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December 18, 2005

宮沢賢治全集8

kenji
 一段と寒い中、「神戸宮沢賢治の会」の例会へ。テキストは宮沢賢治全集8の中から「山男の四月」と「ざしき童子のはなし」の2本と、雑談。
 「山男の四月」は、山男は、樵にばけて町に出て、魚屋の前で会った反物売りの支那人に薬を飲まされ、小さな小さな箱の六神丸になってしまう。この奇想天外さは講談にも向いてるかもという話題もでた。 「ざしき童子のはなし」は、座敷わらし伝承を賢治風エピソードが4つ。もう、大好き!

 も一どこっそり、ざしきをのぞいてみましたが、どのざしきにもたれも居ず、たゞお日さまの光ばかり、そこらいちめん、あかるく降って居りました。
 こんなのがざしき童子です。

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December 16, 2005

闇の占い師

ginta
 1年前、ケガをした息子と整形外科へ通ったが、今度は部活中の事故で病院に運ばれたという電話が学校から入り、仕事を放り出して病院へ。前回は車椅子姿に愕然としたが、今回は歩いてたのでホッとした。全治10日の軽症。
 「闇の占い師―銀太捕物帳」大好きな「お江戸の百太郎」シリーズの姉妹編。前シリーズで活躍した百太郎は同心となり、こんどは弟の銀太少年が捕物帳デビュー。(なんと、百太郎の父親と銀太の母親が子連れで再婚したのだ)江戸市中で妙な迷子や神隠しが続いていた。雪の降る1月20日、銀太の友達も行方不明になった。迷子は、だいたい10日後には無事に発見されていたのだが、ついに薬種問屋の一人娘が行方不明の後、死体で発見された。事件の裏には、なぞの占い師鬼道斎が関わっているらしい…。江戸時代の風俗や慣習が丁寧に説明された、面白い時代ミステリー。

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December 14, 2005

潤一郎ラビリンス

DSCN0341
 芦屋川を南に歩いていたら、谷崎潤一郎記念館の看板があった。用事が済んでから記念館へ。寒くてたまらなかったから、暖房の効いた建物に入ってほっとした。水曜日の午後、来館者は私以外、誰もいない。順路を説明してくれた職員が「お庭に出ての鑑賞もできます」と説明してくれたけれど、寒いからパス。手入れの行き届いた庭園はロビーから見ただけ。
 潤一郎の作品といえば「細雪」。わたしは高校生くらいで読んだはずだけれど、そんなに思い入れはなかった。神戸に住みだしてから再読して、これは面白い! と素直に入り込んだ。もう失われたかもしれない上方の文化の香りが舞台となった町にきたことで味わえたのかもしれない。ジェンダーの視点での読み解きもあるけれど、当時の社会背景、潤一郎の美学からすると、違和感はない。我が家のどこかにあるはずの「細雪」が見当たらない。本棚にあったのは、「潤一郎ラビリンス〈7〉怪奇幻想倶楽部」。この中では、「病蓐の幻想」が好き。すごいとしか言えない。

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December 13, 2005

ゲド戦記

 gedo


 今年1月にブログに書いた、グインの中では一番好きなお話「ゲド戦記」。来月の鳥越塾のテキストにもなっていて、また読もうとわくわくしていたら、なんと、スタジオジブリでアニメ化になるというニュース! ええ~? あんまり驚いたのでメモ。

 きょうもとっても寒い一日だった。北のほうでは大雪らしい。

    オリオンが至近距離までやってきた

 
 
 

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December 12, 2005

地図でみる世界の女性

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 一日の間に、用事を詰め込めるだけ詰め込んでしまう日がある。きょうはそんな日で、朝から、あちこち走り回って、ゆうべも遅かったもので、一番楽しみにしていた講座の中で、ふっと意識を失って(眠ってしまった!)いた…。
 「地図でみる世界の女性」の訳をした原先生の講座。この本で何が見えてくるのかと、ていねいにお話してくださった。密度の濃い時間だったのに、ああ、みみずのような読めない文字のメモが…。なんてこった。女性のおかれている問題点がくっきり見える地図でわかりやすし、広範囲の項目が挙げられている。「名誉殺人」が21世紀でもあるんだ!とか…。原先生いわく「日本版(県別)」が欲しいとのこと。ホントに! 

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December 08, 2005

リアル・ラヴ

lennon
 ジョンレノンの歌がたくさん流れた。生きているときから伝説の人だったけれど、この絵本「リアル・ラヴ」からは、素顔のレノンが伝わってくるような気がする。子育てのために、仕事を休んで子どもとの時間を幸福に過ごしたときに描いたもの。洒脱な絵とコトバ遊びと、愛情がつまってる。
 「ビューティフルボーイ」という美しい歌には、子どもへに愛情と人生とがつまっている。もしも、英語がしゃべれて、歌がうまかったら、ずっと歌いまくりたいのだが…。
 

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December 07, 2005

クリスマスをまつリサベット

 rin
 水曜日は、小児科でのおはなし会の日。12月だからクリスマス絵本を持参。大好きな絵本を背負ってとことこ。リンドグレーン「クリスマスをまつリサベット」(岩波書店)、「こねことサンタクロース」(ひくまの出版)「サンタクロースってほんとにいるの?」(福音館)「急行北極号」(あすなろ書房、村上春樹訳!)「ティリーのクリスマス」(こぐま社)、あとは図書館に紙芝居を借りに行った。図書館の前でばったり絵本を専門に研究をしている方と会った。思いがけない出会いはうれしいのだが、こういう専門家におははし会に行くところとか気軽に言ってはいけないことがよくわかった…。選書を批評されてしまうのだった…。まあ、いいか。
 「クリスマスをまつリサベット」は、「おもしろ荘のこどもたち」の一部。クリスマス準備、川が凍った朝のスケート遊び…。こんなにもワクワクとする幸福な子ども時代はないというくらい、おもしろいうえに心の奥底に入り込んでくるおはなし。リンドグレーンはピッピや「はるかな国の兄弟」もすごいけれど、やっぱり「おもしろ荘」がサイコウと思うのだった。
 

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December 05, 2005

てぶくろ

tebukuro
 寒い! 中学校のPTA新聞の最終校正があって、出かけたのだが、風がヒューヒュー吹いて、顔が痛いくらい寒かった! 青空は出てるけど雪がチラチラしそう。指がかじかんでてぶくろをしてくるんだった~と思った。 こんばんは、絶対なべにしよう! だいこんをことこと煮込んで、おでんを作らなくては。ああ、おぜんざいも食べたいと思いながら帰宅。
 「てぶくろ」は、寒くなったら必ず読み聞かせに使う絵本。おじいさんの落としたてぶくろに、いろんな動物が次々に入り込んでいく。寒さの中で、あたたかな手袋が、想像力によってどんどん広がっていく。心もあったかくなる。

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December 04, 2005

ライオンと魔女

naru
 来年の映画公開がひかえているナルニア物語「ライオンと魔女」。わたしが読んだのはもう何十年も前でよく覚えていないけれど、シリーズ1作目の「ライオンと魔女」のイメージは鮮烈だった。衣装だんす、雪の世界、かさをさしているフォーン、白い魔女、石の魔法、春の訪れ…。1巻目がなんといっても一番おもしろかった。今回は、鳥越塾のテキストになったので再読。全7冊読んできていたメンバーが多くいる中、わたしは1巻だけ。あれこれ忙しかったということもあるけれど、なかなかお話にはいりきれなくて、2巻目以降にいたらなかったという部分もある。読みとばすよりも、冒険のさなかでも、ゆっくりお茶を飲むような、独特の旧き良き英国の伝統みたいなのが、作品に色濃いせいかも。挿絵のポーリン・ペインズがまたいい。
 訳者あとがきを、読んでみたら、エドマンドが食べたのはプリンではなかったと書いてあった! じつは、日本になじみのないターキッシュ・ディライトというお菓子だという。そうだったのか。じっさい、このお菓子は見たことも食べたことがない。が、この魔法のプリンのシーンは強い印象があって、おいしいプリンを食べるたびに「プリンの誘惑で悪の道に走ってしまう男の子がいた」と思い出していたのだった。

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