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May 11, 2024

二村典子さん

San

ねじまき句会でお世話になっている、二村典子さんの句集『三月』(黎明書房)。

のほほん感がとっても素敵。


野遊びの誰の話も聞いてない
鳥の巣へ百歩手前の静かな日
チューリップうっかりもらう皆勤賞
金魚死ぬ。当番の日にかぎって
キャベツ畑区画整理の一丁目
一歩ずつずれて下さい蝉時雨
親切な高橋さんに萩に月
台風の目の中にいて耳を貸す
新松子大きな駅でまごまごす
黄落の向かい合わせに水道屋
大根も葱もおさまりきらないが
外されたマスクの中に言葉あり
お隣はサボテンクラブ冬の蝶
クリスマスツリーに変身する前は
重箱の要所要所のちょろぎかな

May 06, 2024

城水めぐみ川柳句集『甘藍の芽』

 

Megimi

川柳大会で城水さんが特選をもらっている姿を見たことがある!

その城水さんの句集『甘藍の芽』。シュッとしています。

 

 水紋を描く四月の偏頭痛

 シャキシャキと響く忘れたかったこと

 一日の終わりに触れる駱駝の背

 非常口辺りで絡む烏賊の足

 朝の蜘蛛しあわせなんてこんなもの 

 ともだちの蓋はやさしく閉めましょう

 鳥だった頃の名前で呼んでみる

  沈黙を守る舌下の不発弾

 騙されていたい桜の虚言癖

 

 

March 09, 2024

留守にしております。

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ねじまき句会でご一緒している瀧村小奈生さんの句集『留守にしております。』

うるう年の閏日に発行だなんて、さすが「のがのなら」のこなおちゃんだ。はじめて句会でお会いした時のこなおちゃんは、句の腑分けは任せてって感じがして怖かった! 昨年句集を出した青砥和子さんも、とっても丁寧に句を読んで、ねじまきは、ほんとに、リアル句会が面白いのに、もう2年も欠席中…。

好きな句の一部を紹介。

 

ルーシーがお空で飼っているくじら

三月じゃなくってゼリーでもなくて

完璧の曇り空です。あ、ひらく

琵琶湖見えないけど滋賀県通過中

これからが躑躅やんかというときに

敷島の大和に降らす太田胃散

セロリかじるとかなしい音がするんだよ

 

February 29, 2024

お知らせ

きょうは4年に一回の閏日。

神戸上筒井の神戸文学館には、とても思い入れがある。眉村卓とか西秋生の講演会を聞いた場所だから。

その空間で、今年も以下の会を開くことになった。句会つきというのが、面白いかもです。ご参加いただけたらうれしいです。

 

「月の子忌 時実新子を読む 新子と月、私の月」

3月23日(土)午後2時~3時半

企画  月兎(妹尾凛、八上桐子)

ゲスト  樋口由紀子(川柳人 『晴』編集発行人)

「時実新子を読む」シリーズは2016年より時実新子の忌日に、新子の作品を年代順に味わってきました。今年からは、新子の作品をモチーフごとにゲストを交えて鑑賞します。第1回は、忌日の由来にもなった「月」の句を取り上げます。ゲストに新子の初期の弟子である樋口由紀子さんをお迎えします。

 また、参加者から要望の多かったミニ句会も開催します。句会参加希望者は、兼題の「月」の句を1句、3月16日までにはがきか、メールで神戸文学館までお送りください(必着)。参加のみも大歓迎ですが、投句のみはご遠慮ください。当日、会場で出す席題もあります。

定員50人 申込先着順 参加料:500円

申し込みは神戸文学館まで。

January 13, 2024

みどり色だから読んでるの?

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そんなつもりじゃないけれど、身の回りには緑色が多い。携帯ケース、メモ帳もペンも。セーターもマフラーも。よくいくcaffe gitaのカップも緑色。そこで、暮田真名『宇宙人のためのせんりゅう入門』(左右社)を読んでいたら、スタッフさんに、「あ、みどり色だから読んでるの?」と言われて、大笑いしてしまった。この本は、きれいなみどり色の表紙。

去年、神戸の句会で暮田さんにお会いしたことがあるが、もう、恐ろしいくらいに才能が駄々洩れしている人だった。

川柳入門というだけなら、たぶん、食指が動かなかったと思うけれど、なにしろ、「宇宙人のため」というぶっ飛んだタイトルに、食いついた。ほんとに読み物としても面白かったし、文学の中でもぜんぜん王道でないから、それがサブカルというキャッチになっていてウケてしまった。

で、作中では、かわいいイラストでクレダと表記されている。この表記から、環境活動家のグレタさんが思い浮かんで、まさに川柳活動家だと思った。

そして、川柳って何かがクリアに書かれていた。

 

 

句集紹介

Sen

年末に届いた秋田の川柳仲間の句集。

斎藤泰子川柳句集『フツー』

題の付け方がかっこいい!

 

好きな句を5つ。

  ただいまと何もなかったように言う

  夕刊があるテーブルに流れつく

  笹の葉がこすれるような胸騒ぎ

  コーヒーは苦いし外は吹雪だし

  もう少し沈めば泥になれるのに

 

今年一番最初に読んだのは、ねじまき句会の仲間、青砥和子川柳句集『雲に乗る』。

日常と非日常の縁にいる雰囲気の小道具が、とってもかっこいい!

魔除けとか耳とか白詰草とか最中の皮とかイオンとか。

 

  手の中の海を息子が見せにくる

  カラフルな渦巻きである少女の目

  霧の街停車ボタンを押しました

  こめかみをグリグリ八合目ですね

  相槌を打つたび溶けていく素顔

  茶封筒ふっと薄暮の匂いする

  極月やだんだん合ってくる読経

  変装を繰り返しでも目立つ耳

  白詰草のような一面の文字化け

  行ったことのないアフリカの魔除け札

  つぶやきを包む最中の薄い皮

  それぞれの事情があってイオンまで

 

December 01, 2023

「What's」 Vol 5 でました

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10月20日に「What's」 Vol 5でました。仙台の広瀬ちえみさんが発行人です。

今年、川柳と出会って20年になったことを書いたけれど、そんなに長く続けていたのかと、自分でもびっくりした。

いつも、がんばって句を提出しているのに、手元に本が届く頃には、自作なのに、「いったい何が言いたかったの?」と、聞きたくなるような句が多々あって、びっくりというか残念というか……。20年たっても……うだうだしている。

   松の廊下で妹が待っている       凛   

 水鳥ははばたくユーミンのように

   霜月の温泉卵ふっている

エッセイでは平岡直子『Ladies and』を取り上げた。

万が一読みたい方はメールでご連絡ください。

November 23, 2023

Picnic No.10

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 久しぶりの書き込み。
 忙しいというよりも、手のかかる親に振り回され中というよりも、このココログがコピー&ペーストができなくて、使い勝手が悪かったのだ。が、「Ctrl+C」と「Ctrl+V」が使えることが分かったので、久しぶりに書き込み。(忘れないように、「Ctrl+C」と「Ctrl+V」をメモ)

 11月1日に『Picnic No.10』でました。
 一部紹介します。詩歌本の店「満天の星」で、絶賛発売中

幻獣  叶裕 
 先月、仙台での「秋のブレンド句会」に参加したとき、初めて叶さんにお会いした。
 Picnic参加者にはお会いしたことのない方が多い、というか、川柳を書く人は、榊さん、与生さん、わたしの3人しかいない……、と、今ごろ、気がついた!
 叶さん、句を、さらりと作っているように見えたのだけれど、いやはやヘビーです。

 楽園に酢醤油で食う水餃子
 ぼくたちの遠雷ですよおかあさん
 アリバイが無くて煮卵売り切れです

SPACE OPERA 木村オサム 

 こほろぎの棲み処となりしタイムマシン
 満月が岡本太郎の顔になる
 自転車のサドルにされた宇宙人

人様の  榊陽子

 占いに並んだ美しい座薬
 見境に注ぐファラオの秋野菜
 そうやってシールを貼って汚すのね

Junk   月波与生

 油絵の赤はアルデバランらしく
 野葡萄を散らしてマントラのオブジェ
 眉毛から猿に戻っていく芒
 
目覚めれば  中村美津子

 ゑいもせす竜の髭なら反古にする
 えいえんは雨の日のだんだん畑
 あさがおの行間にときどきeメール

明ける  松井康子

 数式をピューマが走り抜けていく
 木耳を刻むかすかに開く森
 鹿はいま橋の長さを暮れゆけり 

あめふりしぐれの  あみこうへい

 あたしのあめならかんぜんもくひ
 めるかとーるのせかいのままおよぐ
 ふこうよりしあわせがすきなくもがくれ
 りすとかっとのえらんだそらはまあるいの

ゆむゆむ  羽田野令

 犬枇杷まだ硬し遠くにアルタイル
 ひややかに神話にかける生たまご
 月光に出アフリカのきりぎりす

売ります  岡村知昭

 きりぎりす蘇我氏滅びるまで我慢
 秋深し深爪同士向かい合い
 白彼岸花午後からは曇るはず

「フルーツ」と「昆虫」 梶真久

 フルートは学級文庫が大嫌い
 桃の産毛が宇宙を掃いている
 競歩が終わるまで夏の蝶でいる

青のオーケストラ 鈴木茂雄

 かたつむり青のオーケストラの中
 紅葉づりて言葉を紡ぎだすところ
 朝顔に切り取り線があるらしい

写楽な方法  野間幸恵

 要するにGIRAFFEの首を待ちわびて
 錆色の月日写楽な方法で
 水際のユークリッドの立つ瀬かな

July 17, 2022

Don't think. FEEL!

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とっても久しぶりに更新。この4月からは秋田の実家にいる時間が増えている。なので手元に自分の本がほぼない! 

仮住まいだから本は買わないようにしようと思いつつ、しょっちゅう近所の本屋に注文にでかけている。4月以降、左右社から川柳の句集が連続ででた。

暮田真名『ふりょの星』

 白馬の前で生きてられるか

 調律をしても心が痛まない

 

平岡直子『Ladies and』

 1年とはロックスターが12人

 木犀をわすれて先に行ってるね

 

なかはられいこ『くちびるにウエハース』

 非常口の緑の人と森へ行く

 東京のキョでいっせいに裏返る

 

3冊とも汲めども尽きぬ魅力があるれ出ている。すごいなあ、左右社。

November 03, 2021

Picnic4号とWhat's

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この夏は実家暮らしで、川柳とは遠ざかっていたけれど、声をかけていただいたところに、なんとか句を出すことができた。

「Picnic4号」

編集 野間幸恵・石田展子 

榊陽子、月波与生、あみこうへい、鈴木茂雄など

(1000円)

 

「What’s」創刊号

編集発行 広瀬ちえみ

「杜人」の終刊はさみしかったけれど、ちえみさんが新しい場を作った。句はもちろん、評論もあって、杜人の自由で開けた世界がある。

佐藤みさ子、加藤久子、竹井紫乙、兵頭全郎など

(非売品)

どちらも読みたい方があればメールでお問い合わせください。

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